[秋田書店サンデーコミックス 各部概要と凡例]

(例画像に用いた「サイボーグ009」の書影は、昭和54年7月10日発行・51版のものです。
同書の初版は昭和42年9月10日です。)

<おことわり>

説明文・及びリストの中で「SCマーク」「SCコード」「背ジャンル」というような用語を用いておりますが、これらすべて便宜的に使っている独自の呼称であり、秋田書店様が設定した正式な名前ではないことをあらかじめお断りしておきます。
1:タイトルロゴ
既存のフォントが用いられることは少なく、多くは連載時に用いられた(もしくは単行本用に作られた)手書レタリングのデザインロゴが採用された。色は赤・青を基調にいくつかパターンがある。
作者特有の書き文字テイストをそのまま生かしたものが多く、秋田サンデーコミックスの味わいにおける役割は大きい。
背表紙にも同様のタイトルロゴが配置されるが、表紙ロゴをそのまま縦書きにしたものもあれば、微妙にデザインを変更しているものもある。背表紙タイトルは赤でほぼ固定。
(例に挙げた「サイボーグ009」のロゴも、よく見ると「サイボーグ」の部分のデザインが異なっている)

1980年代後半に出たラインナップの中には、既存のフォント(ゴシック体など)を用いたものもある。
2:著者名
右上部分にクレジットされる。原作つきの場合は原作者が上・作画者が下に配置される。
フォントは明朝体。
3:巻数
枠内に表示されるが、左下だったり右下だったり、タイトルロゴの直下だったりと場所はさまざま。
全1巻の場合は表記なし。
しかし、「1巻」とクレジットされながら実際は2巻以降が出ていない作品もあるので収集の際には注意が必要。
4:
表紙を額縁状に彩る枠で、秋田書店サンデーコミックスの装丁のもっとも特徴的なもの。
「SCといえばこのガクブチ」というイメージの方も多いだろう。
黒枠がもっとも一般的だが、調べてみると他の色・他のデザインも何パターンかある。
黒枠 青枠 紺枠
もっとも一般的に親しまれた基調的デザイン。
黒枠の中に細い白枠があり、その中に表紙イラスト・タイトルロゴが収まる形で、並べた時の統一感を強めている。
楳図かずお作品御用達の印象が強いが、「キカイダー」「TV天使」もこの色。 「忍法十番勝負」および「バンパイヤ」新版(4巻本)のみの枠色。多少色味は違うが強引にカテゴライズしてみた。
白枠
「男どアホウ甲子園」および特撮・アニメコミカライズ作品の一部の装丁をこのように区分した。
「男どアホウ〜」は前半と後半でデザインが変化しており、後半は限りなくチャンピオンコミックスに近いデザインになっている。
コミカライズ作品は、例のように表紙がマンガオリジナルの絵ではなく、TV番組から持ってきた写真やセル画像の場合にこの装丁となるようだ。(コミカライズでも、漫画作品固有の絵が表紙になっている場合は黒枠レイアウトとなっている。例:「スペクトルマン」「マジンガーZ」など)
またこの場合、背表紙にはジャンル表記がなく、その分番組画像がレイアウトされた独自のデザインとなる。(「ザ・シャドウマン」のデザインもやや迷ったが「白枠」とした。)
枠無し 黄枠
1980年代終盤に発行された単行本(「生き人形」以降)は枠のないデザインとなり、表紙だけでは他社単行本と見分けがつかないライトな印象になる。
実質的にここから枠は廃止になる。
なお、黒枠が一般的だった時期においても、さいとう・たかを作品は基本的に額縁枠を用いないデザインとなっており、例外的だった。
1999〜2000年にかけて発行された手塚治虫再販もの特有の枠。正確には額縁というより、枠無しレイアウトに上から飾りフレームを置いた印象。
背ジャンルも復活。個人的には「講談社手塚治虫全集」の額縁に似ているのがちょっと気になる…
5:タイトルローマ字表記
黒枠・青枠レイアウトの場合、枠右下部分に表記される英字部分。
タイトル表記の後に(NO.*)という形で巻数が併記される。
日本語のタイトルのものは基本的にヘボン式ローマ字表記で示される。
ヘボン式:「しゃ」=「SHA」と表記するタイプ。「SYA」となるのは「訓令式」。)

本当は長音部分(例:「番長」→「BANCHO」の「O」)には、上部に「 ̄(マクロン)」記号がついた形で表記されているのだが、一般的なWebブラウジング環境では表示されないのでリスト内では省略している。

タイトルの中に英語・外来語が含まれている場合には英語スペルを用いることが多いようだが、例外もあり法則化は困難と思われる。

・英単語・外来語は英語で表記するタイプ
 「サイボーグ009」→「CYBORG 009」

・英単語だが日本語読みとして表記するタイプ
 「マスクマン0」→「MASUKUMAN 0」」

・日本語タイトルをなぜか英訳(ロゴ・ルビにはない英訳)して表記するタイプ
 「宇宙戦艦ヤマト」→「COSMOSHIP YAMATO」

このローマ字表記は、黒・青枠以外には存在しない。
6:ジャンル
基本的に黒・青枠の左上部分にロゴ化されて表示。
一部、ロゴ化なしの通常フォントで表記される作品もある。
「●●COMICS」という部分で、黒枠の場合にはブルー、青枠の場合には黄色で表示される。
「SF」「冒険」「野球」「時代」など、作品の内容に合わせたジャンルが存在している。
中には「少女」「西部」のように、1作品だけのために設けられたジャンルもある。また、さいとう・たかを作品に付けられた「●●劇画」というジャンル名もあり、作家のこだわりを感じる部分と言えるかも。

白枠コミカライズものには付いていない。
ジャンル表示は、「生き人形」以降の枠廃止にともなって消滅した。
7:SCマーク
背表紙上部・裏表紙中央部にある鳥+「SUNDAY COMICS」のロゴが組み合わされたマークで、シリーズの看板的存在。
時代によって形が違うことが知られている。
発行当初(1966年〜1971年1月)は「丸の中に鳥」、「格闘王V」(1971年2月初版発行)以降は「四角の中に鳥」のマークに変更されている。
<背表紙>
こうして並べてみると、枠の形だけでなく、鳥のスタイルもずいぶんと違うことがうかがえる。

初代の鳥はスマートなフォルムで、「丸ツル」と通称されることもある理由がよくわかる。
二代目の鳥はけっこう角ばったスタイルになり、頭の後ろのトンガリや、尾の先端が広がっているのも特徴。こちらはもはや「ツル」というよりは、ガルーダやフェニックスといった架空の鳥を想起させるものがある。

下段はちょっとイレギュラーな「ターザンの冒険」の背表紙にある「JUNIOR SUNDAY NOVELS」のマーク。
「JUNIOR SUNDAY NOVELS」というレーベル自体が存在しないので、実質この一冊のためのマークである。
ちなみにこの「丸に鳥」マークは、秋田書店が1963〜1977年ころに発行していた「サンデー新書」「サンデーノベルズ」レーベルにも使用されていた。

1971年1月以前に発行された作品については、初版〜初期の重版のものは丸、1971年以降の重版は角マークというように併存しているので、古書店で古い版や初版を探す場合の目安となり、またプレミア価格の対象にもなっているようだ。

一方こちらは裏表紙のSCマーク。
こちらにも丸マーク・角マークが存在しているが、興味深いのは真ん中の「背景は丸なのに鳥のデザインは角型」のもので、過渡期のものかと思われる。
よく見ると、尻尾の先が角マークの鳥よりも細く、ちょっと不思議な感じがする。

ちなみに「夕やけ番長」12巻(1970/9/10初版)の書影より見つけたもので、同時期のものと比較調査してみたいのはやまやまなのだが、いかんせん裏表紙まで含めた書影はあまり多くないため、なかなか実態がつかめない状態である。
(中央のマークのついたSCをお持ちの方がいらっしゃいましたら、作品名・巻数・発行日の情報をお寄せいただければ幸いでございます。)


8:SCコード
背表紙のSCマークのすぐ下に印字されているコード番号で、「SC-***」という形で示されている。
ほかの方のありがたい調査結果によって、「1〜376まで存在する」ことが確認されている。
しかしこれは通しのナンバーではなく、印字されていないものも多いので注意が必要。
SCコードは創刊当初からしばらく付与されていなかった(ゆえに初期の作品や版の若いものにはSCコードが付いていない)。

1975年7月20日発売の「宇宙戦艦ヤマト」から、発売順に付けられるようになった(「SC-267」からのスタート
・それ以前の作品については、作品ごとに通しになるように番号が割り当てられた。
 
「SC-1」は「サイボーグ009」の1巻に付けられ、当時10巻まで刊行していたので、2巻が「SC-2」、3巻が「SC-3」…10巻が「SC-10」となるように設定された。

・その他の作品についても、できるだけシリーズごとに通しでまとまるようにSC番号が割り振られた。
 しかし、「男どアホウ甲子園」のように、1975年7月20日以降にも続巻が出たものについては、必然的に「途中から飛び飛びのSCコード」となっている。

・「SC-1〜286」は1975年7月20日以前の刊行冊数286冊(「ターザンの冒険」を含むものと考えられているのでここではそれに従う)と対応しており、基本的には286冊すべてに過不足なくSCナンバーが割り当てられるはずである。しかし実際には、SCコードはシリーズ刊行順に割り振られたわけではなく、飛び飛び・しかも初版発行日が前後しているものも珍しくない。
 これは、「重版をかけた作品から順にSCコードを振って行ったのではないか」という説が有力であるが、詳細はよくわかっていない。

・そう考えると、「重版のかからなかった作品にはSCコードが(仮の割り振りはあったとしても)一度も付与されていない」ということになるので、リストを見ていただければお分かりの通り、かなり大きな不明分が存在している。


1982年4月10日発売の「機動戦士ガンダム」1巻の後は、再びSCコードがつかなくなっている。

9:背ジャンル
背表紙のタイトルの上にジャンル表示があるのも秋田サンデーコミックスの特徴である。

このジャンル表示は、「6」で紹介した表紙のジャンル表記の上に何かしら枕がついたものになっている。

  例:表紙ジャンル「SFCOMICS」→背ジャンル「大長編SFコミックス」

ある程度巻数を重ねたものは「大長編」という枕がつくことが多いのだが、1巻しかない作品でも「大長編**」だったり、巻数の多いシリーズでも「大人気**」という枕がつくこともあり、やはり法則性はよくわからない。
他には「大人気」「痛快」「傑作」というようなものがよく使われる。「大人気」「痛快」は全一巻ものや短編集などで目立った。

ごく初期には、ジャンルを示さず「SUNDAY COMICS(縦書き)」と入ったものもあった。
今のところ「超犬リープ」と「ボンボン」の1〜3巻で確認している。

背景色は「薄い黄色」「薄いブルー」「薄いピンク」があり、シリーズ内で混在することもあり、この基準もよくわかっていない。

白枠コミカライズものは、背表紙に画像が入る関係上なのか、背ジャンル表示がない。
また、「生き人形」〜「輝きたくて」の時期の作品には、ジャンルのあるものとないものが混在している(初版のみ背ジャンルありかも?)。
その後の「手塚復刻シリーズ」ではまた復活している。

[凡例]
<第1巻初版発行日>
作品タイトルごとにまとめたリストで使用しています。
「複数巻あるうちの第1巻目の初版発行日」です。
(全1巻ものについてはそれ自体の初版発行日となります)
作成リストでは、日付はすべて西暦で表示しています。
<題名>
書影にて確認したタイトルを書き起こしています。
「バイオレンスカー炎の鷹」は、巻末リストなどでは「炎の鷹」のみの表示でした。
<巻数>
作品タイトルごとにまとめたリストにおいては、「シリーズ全巻の巻数(全*巻)」を表しています。
ただし、「サイボーグ009」のように、掲載誌ごとに間があいており、ストーリーの区切りのはっきりしたものについては便宜上「*〜*」と表示しています。これは、できるだけ初出誌ごとに分けたデータを取りたいための苦肉の策で、分かりづらくなっておりますがご了承ください。
巻数表示のないものは全1巻です。
ただし、「1」とあるものも全1巻ものです。

こちらは、表紙に「第1巻」とクレジットしてある場合に区別する意味でそのように表記しました。要するに諸般の事情や出版社側の判断で「2巻以降が出なかった」ケースと考えられます。
<著者名>
作者名です。
原作つきのものは、"作画者/原作者"という形で表記しております。
また、「石森章太郎(→石ノ森正太郎)」「小沢さとる(→小澤さとる)」のように後年改名された方々については、初版時の表示のままで表記しています。
<ジャンル>
表紙のジャンル表記部分を書影にて確認の上、記しています。
「?」表記の作品については、書影を探すことができず、現在調査中です。(情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらご一報いただければ幸いです)
後期のものとコミカライズもの(白枠)については表記がないため「表記無」としています。
<背ジャンル>
背表紙のジャンル表示です。「?」表記のものは調査中です。
版によって異同が生じている場合もあるようです。
コミカライズもの(白枠)においてはやはり「表記無」です。
<枠>
表紙のデザイン枠の色です。詳しくは上記の概要をご覧ください。
<ローマ字表記>
表紙右下のローマ字表記部分です。
本来長音部には「 ̄(マクロン)」が付いているのですが、Web上での表記は難しいため省略しています。
コミカライズもの(白枠)及び「生き人形」以降の作品については表記がありません。
<初出>
作品が連載された雑誌名です。
いくつかの雑誌にまたがって連載されたものもあるので完全な把握はできておらず、不備な点がまだまだあると思います(ご指摘お待ち申し上げております)。
連載中に掲載誌を移動・変更したもの、複数の雑誌を渡り歩いた連載については、できる限り調べて分けて書きました。
「冒険王」と「別冊冒険王」のように兄弟誌のもの、または同社内の雑誌に並列した連載はある程度まとめて一つの項目にしました。これはそもそもリストの目的が、「サンデーコミックスにおける他社・他誌のしめる割合」を調査するというものであるためです。

短編・中編集については、表題作のみの掲載データ・またはその一冊の中に占める割合が多い作品のデータのみを記載しています。
<発行社>
初出誌の発行元です。
現在は社名を変更している会社もありますが、基本的に発行当時の名称で記載しております。
<掲載期間>
初出の掲載/連載時期です。
詳細が判明しているものを除いては、基本的に雑誌の号に従って表示しています。
例えば、「1975年1月号」から連載がはじまった場合、実際の発売は1974年の11〜12月なのですが、月号数に従い、「1975年からの連載開始」として扱っています。
できるだけ開始・終了時期をまとめたつもりですが、まだはっきりしていないデータもありますので、目安程度にご覧ください。
<SCコード>
背表紙に表記されているSCコードのうち、既知のものを記しています。ない(もしくは不明の)作品もけっこうあります(詳しくは概要にて)。
SCコード付与の仕様により、飛び飛びになっている作品が多いためセル幅がやたら広くなってしまいました…
<備考>
その他の情報です。雑誌掲載時と単行本発行時のタイトルが異なっている場合などについてもできるだけ掲載しています。

[謝辞]
リスト作成にあたって、さまざまな研究サイト・情報サイト等を参考にさせていただきました。
この場を借りて厚く御礼を申し上げます。
<リスト作成データ等>
MANDARAKE INFORMATION
   「まんだらけ」にて秋田サンデーコミックス全巻揃いが発売された折のニュースで、特に全巻リスト(+「ターザンの冒険」に関する情報)が参考になりました。
なつ漫太郎の漫画部屋
   管理人「なつ漫太郎」様作成の「秋田サンデーコミックス」リストなしではこの調査はできませんでした。ありがとうございます。
BIZARRE BOOKS OVERDRIVE!
   著名コレクター「びざーる渡辺」様のサンデーコミックスリストも参考にさせていただきました。
<その他>
wikipediaや各種ファンサイト掲載の情報が大変役に立ちました。
また、ジャンル等を確認する上では書影を実際に見ることが必要不可欠なのですが、コレクターの方が公開している書影および、古本通販サイト・ネットオークション出品の参考写真などのおかげで、なんと全シリーズの書影(背表紙はまだかなり揃っていませんが)を集めることができました。

[コンタクト]

何分にも、まだまだ不明部分の多い不完全なリストです。
誤りに対するご指摘及び不明部分への情報提供・その他苦情・ご意見等ございましたら、こちらのメールフォームよりご連絡いただければ幸いです。

お手持ちのサンデーコミックスについての情報のご提供をいただける場合には、該当書籍の版数および出版日をお書き添えいただければなお嬉しく存じます。
管理人:大道寺零

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