〔本の変〕

 ここでは、大道寺が発見した「この本はここがちょっと変だ」「今となってはどうにも変だ」というところを集めてみました。重箱の隅つついてます。

*翻訳・時代背景による必然的「変」
テキスト レイモンド・チャンドラー 「長いお別れ」(創元社文庫版)
 翻訳紹介は、この版が最も早いものです。(現在でも刊行中)その功績は絶大なのですが、いかんせん昭和30年代後半。現在読むと、微妙なところで脱力してしまいます。

(1)「グレープフルーツ」についての注釈:「ザボンのような果物」
 この当時、日本ではまだまだポピュラーではなかったのですね。それにしても、今では「ザボン」の方に注が必要といえましょう。

(2)会話で「off corse」「sure」の多くが「モチ。」 と訳出。
 ハードボイルドの金字塔な主人公なのに、脱力しまくりです。
 「モチコース」(何故知ってる、自分)でなかっただけいいとしますか。

(3)ちょっと濡れ場なシーンで、ブラジャーのことを「乳当て」と訳出。
 まあ、これも特有のエッチ感がないわけではないですが、色気はゼロですな。