■■謎のオリエンタルデザイン■■

 以下に挙げるのは、私が先日(2000年11月26日)のオフ会の際に買い求めた、アメリカ・ドーヴァー社より発売されたCD−ROM付きデザインカット集・「Oriental Designs」に掲載されているものです。
 同社のシリーズを初めて見た上に、おのぼりさんが初の銀ブラでつい舞い上がってしまい、「いつか使えるかも」という脆弱な動機で買ってしまったこのデザイン集。後で冷静になってみたら、「あーー、まだまだ理解されてないなあ、オリエンタルデザイン・・・」と涙する画像が結構含まれており脱力しました。日米の夜明けはまだ遠いとも主ました。
 このデザイン集には、日本・中国の画像が収録されています。
 確かに中国古代デザインの資料では、石や鉄器・青銅器に刻まれたものや陶器の模様、または織物に残った画像から書き起こしているものが多く、フォルムのしっかりしていないものは多いので、その点制作は大変かも知れません。
 しかし、中には「どう見ても東洋美術の知識のない者が、適当なイメージで描き起こしたもの」「大胆すぎる簡略化を行ったもの」「っていうかそれ以前にスタッフの画力に根本的な問題のあるブツ」などが含まれておりました。何かそのままにしておくのも悔しいので、特筆すべきものをここに挙げて、1790円の出費を「ネタ代」として自分に納得させるための企画です、ハイ。

★混ぜるな★

 ←ポーズや衣服は仏画・もしくは中国(隋・唐時代あたり)の美人画っぽいのですが、頭部がまるっきり花魁。

 

 

 

★省略するな★

←えー、この画像は、いわゆる「福寿図」というものを描きたかったのだと思われます。

→右に挙げたのが正しい福寿図。中央の図案は単なる絵ではなく、「寿」の旧字体である「壽」という字を図案化したモノです。
 周りに配置されているのは、コウモリ。漢字で書くと「蝙蝠」で、「蝠」の字がつくり部分で「福」に通じるため吉祥のシンボルとされ、このように「福」「寿」を組み合わせて、おめでたい図案としてよく用いられています。
(右の図案のみ、江寧大学出版社「中国吉祥図説」より抜粋。「五福捧寿」の図です。)

で、もう一度

を見て下さい。

 一つには、「寿」の図案を省略しすぎですな。「壽」の図案にはもう少し簡略化したものもありますが、全然違います。表意文字なんだから、省略しないで欲しいものです。
 また、それを囲む物体が、コウモリに見えない(多分分かってない)のも問題です。

★間違えるな★

←こんなのもありました。「何か変だな?」と悩むこと数秒、違和感の正体はすぐに分かりました。
→正しくは右図。上下ひっくり返ってたわけですな。
 これは「喜」という字を二つ重ねた「双喜」という図案。これも表意文字なんだから、天地返されては・・・

★分からないなら無理するな

←これは、麒麟か何かを描きたかったのか?
 顔が妙に可愛い。

←多分、鉄板で上の絵と同じ人が描いたであろう、謎の鳥類。
  見る者を不必要に不安にさせる

 

←・・・・・・人面魚?

 

 


←顔が龍、体が麒麟っぽい謎の生物に乗る、謎の人型生物(肩に水子付き)。
  というか、胴体から生えているようにしか見えない