コミック
<え>


ELAN(エラン) 新谷かおる
徳間書店 キャプテンコミックス全5(絶版)
徳間書店 SCスペシャル全2 本体¥680

〜すべての情熱(エラン)は光に向かって進む
   その行き着く先に幸あり…〜

 タイトルの「エラン」とは、主人公の若者4人(のちに6人)でなる、世界最小の貿易会社。
 晃月財閥の当主である沙羅、かつて15歳でハーバードに入学した頭脳を持つ一丸、交渉及び雑務・喧嘩担当の隼と蘭。
 彼らが目指すのは、真の自由が実現できる独立国家…という部分がちょっと青臭く(新谷作品はどこか必ず青臭いけど)、書いてて照れるのだが(^^;)、「貿易・流通」というネタを少年誌で展開するためには仕方ないのかも。

 ライバルの巨大商社「座王」の常務は隼の父親。そして、野望を抱く堂本、その下で汚れ役として活躍する「火付けの柳」。
 この柳氏は新谷かおるのお気に入りらしく、「ジェントル萬」に登場する柳監督と全く同じキャラ。憎めない上に、最後に美味しいところを持っていく。結局一番光ったキャラかも。

 描かれたのは10年前なのだが、ヨーロッパはEU統合前だし、食管法も変わる前、何よりバブルが弾ける前…と随分現在とは経済情勢が変わっていて隔日の感あり。
 物語自体は結局大願成就を見ることなく、それなりにそつなく終わる。
 名作とは言い難いが佳作。中編としてのまとまりはまずまずか。
 米や酒・コーヒーや中古車の売りさばき、貿易そのもののシステム等、散りばめられた蘊蓄がそこそこ面白く読める。
 新谷ファンなら読んで損はない。

「少年キャプテン」1990年〜1991年連載
<1:1996.12.25><2:1997.1.20>