コミック
<か>


ガクエン退屈男(全2) 永井豪
メディアファクトリー永井豪華版 本体¥470

〜むだよ そんなこと
  早乙女主水はなかまの死より 勝負を選ぶ男!!〜

 幼児までがゲバ棒を奮い、学校という学校が暴力に混乱する架空の1970年代。
 教師達はそれに対抗して武装、かくして血で血を洗う教育ウエスタン時代が始まった…という設定。
 行く先々で学園を潰していく闘争本能の男・早乙女主水と、女装の麗人(笑)身堂竜馬。学生ゲリラの英雄である二人と生徒達、そして 怪力美少女錦織つばさをヒロインに迎え、学園・教師達との重火器あり流血有りの大抗争が始まる。

 何しろ、一コマ残らず目と行動がイッてる主水の迫力がもの凄い。
 「本当は戦いたいから戦うんだ!殺したいから殺したんだ!」ってアアタ(^^;)、「ぼくらマガジン」の編集はよくこんなネームを通したもんだ。
 対する竜馬も、最初のうちこそ殺人狂・主水に危機感を抱いたり諫めたりする役回りだが、話が進むにつれて、コイツが一番とんでもないヤツだと判明するわ、男とわかっているのにセーラー服で鞭打たれてるシーンが妙に色っぽかったり…と主役を食う勢い。
 過激さと迫力では「ハレンチ大戦争」編に勝るとも劣らない。胴体切断、顔面爆裂、目玉飛び出しは当たり前、ノーパンで暴れ回るヒロインの勇姿も忘れずにテンション高し。但しH度は低い。。
 こんな主人公に負けまいと、敵方のキャラクターも一気にエキセントリックに。そして物語は一気に加速し、一気に(大いなる)未完へとなだれ込むのであった。んあー。(「ぼくらマガジン」の休刊にともなう連載終了?)

 というわけで、未完の上に話が思いつきっぽい部分もあるので万人にお勧めできるとは言い難いが、この頃の永井豪の抑えがきいてない凄みを感じるには最適な作品。絵や描線の上でもいい時期だと思う。
 70年代のマンガが持つ過剰な勢いがここにある。懐古的な「サイケ&レトロポップ」としか認識していない若い衆は、これを読んで性根を入れ替えてほしいもんだ。もちろんBGMは「頭脳警察」。過剰すぎ?
 また、メインの二人は「凄ノ王伝説」にも出演、「バイオレンスジャック」ではキーパーソンまでつとめるキャラクターなので、「バイオレンスジャック」好きなら読んで損無し。
 #あ、実写版「けっこう仮面」にも出てました。身堂役は一本木蛮。
「ぼくらマガジン」1970年2月17日号〜9月22日号連載 
<1・2共に:1999.5.1>