無用知識袋・卯の巻
- 91.鮭
- 「シャケ」「サケ」という言葉自体は、アイヌ語の「シャク・イベ(夏の食)」から変化したという説が有力。
桂の花が咲く時期に川を上ってくることから「鮭」という漢字が使われるようになったそうだが、中国ではこの漢字は「フグ」を表す。
(語源の異説は、調理後綺麗に身が裂けるので「サケ」という説もある)
- 92.叔父と姪
- 漫画家の安野モヨコは、「ヒゲとボイン」や「黄桜のカッパ」で有名な漫画家・小島功の姪。
また、野沢直子は声優・野沢那智の姪。
- 93.医師国家試験
- 記録に残っている医師の国家試験制度でもっとも古いのは、1140年にシチリア王が布告した詔。それまでは医療行為に資格認定は必要なかった。
もっとも厳格に実施されるようになったのはここ200年程度と言われる。
- 94.天地真理
- デビュー当時は「斎藤マリ」という名前で芸能活動を行っていたが、「朝日の恋人」(原作・梶原一騎/画・かざま鋭二/S45〜47)のヒロイン「天地真理」の名前が気に入り、芸名とした。
- 95.中国最大の罵倒語
- 「忘八蛋(ワン・バー・タン)」は中国語で最大にどぎつい罵倒語。訳すならば「くそったれ」「うすらバカ」とでもすべきところだが、不用意に口にしたら刺されても文句は言えないところ。
実はこの語は「亀」を指す言葉で、主に男性に対して用いられる。
中国の伝承では、オスの亀は自力で生殖行為を行うことが出来ず、蛇に頼んで代理としてつがいのメス亀と交尾してもらう・・・という言い伝えがある。ここから「腰抜け」「うすらバカ・マヌケ」という意味を「亀」に含ませるようになった。日本では長寿と温和のシンボルの亀だが、イメージがこうも違うとは驚き。「亀」単体でも文脈次第で罵倒語となる。
「忘八」とは、儒教で言う八徳「仁・義・礼・智・信・忠・悌・孝」が全て欠けているという意味。表記は「王八蛋」とも書き、更に意味を強めて「忘九蛋」と罵ることもある。
- 96.生命保険の創設者
- ハレー彗星の発見者として知られるイギリスの天文学者エドモンド・ハレーは、生命保険制度の創設者(1693年)でもある。
科学と生命保険の関わりは一見薄そうだが、平均余命や死亡率、掛け金設定の計算など、数学的側面との関わりは深い。保険制度(とギャンブル)に相関しながら、確率・統計の研究が発達していった。
- 97.ヤクルト
- 社名であり主力製品名である「ヤクルト」は、エスペラント語で「ヨーグルト」を表す「ヤフルト」から。エスペラント語を選んだのは、全世界の人に愛飲してもらえるようにという願いをこめてのことである。
- 98.えんじ色
- 漢字では「燕脂(または臙脂)」と表記する。これは中国の「燕」の国で生産される超高級品の口紅のこと。殷の紂王の愛妃・妲妃(だっき)が王にねだって取り寄せたことから有名になり、歴史に名を残した。
- 99.ムヒ
- 池田模範堂の看板商品であるかゆみ止め「ムヒ」の名前は、「効き目が強力無比だから」という意味で付けられた。
- 100.酒池肉林
- 現在ではどちらかというと「肉欲の限りを尽くす」という意味で使われるが、これは殷の紂王が開いた馬鹿馬鹿しいほど豪奢な酒宴で、実際に庭に池を掘って酒をたたえさせ、大量の肉をぶら下げて林に見立て暴飲暴食を行ったことから。この肉は語義的にはあくまで「食用の肉」であって、性的な意味を示唆するものではない。
- 101.メートル
- 1792年、フランスの外務大臣タレーランの提唱によって「度量衡委員」が統一した長さの単位。それまでヨーロッパでは「フィート」などの単位を用いていたが、各国で長さが違っていた。
パリを通る子午線を北極から赤道まで測り、それを1000等分した長さを1メートルとしたもので、1793年に法制化、1797年にメートル原器が製作された。
- 102.パイロット万年筆
- この社名は、ライバル国産メーカーである「セーラー万年筆」に対抗し、水夫(セーラー)の先に立つ水先案内人(パイロット)ということで名付けられた。
- 103.ガマの穂
- 日本神話の中の、皮をはがれて苦しむ因幡の白兎に、大国主尊が「身体を真水で洗い、ガマの穂を敷き詰めた上に転がればよい」とアドバイスしたエピソードは有名だが、ガマの穂の花粉には本当に止血作用があり、生薬としても用いられた。
- 104.サグラダファミリアの魔方陣
- バルセロナにあるサグラダ・ファミリア教会(大家族教会の意。アントニオ・ガウディの設計、製作)西門にはキリスト像があるが、その傍らには魔方陣がある。
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これはいずれも足すと「33」となり、キリストが死んだときの年齢を示すと言われる。
もっとも、同じ数字を複数用いているので厳密な意味では「魔方陣」とは呼べないが。
- 105.ジェームス三木
- 脚本家として有名だが、1955年テイチク新人コンクールに合格し、13年間歌手として活動していた。
- 芸名を考えることになって先輩のディック・ミネに相談したが、「これから税務署に行くから忙しい」と断られた。そこでめげずに「ゼームショイク」→「ジェームスイク」と考えて現在の名前にしたという。
- 106.魔法使いサリー
- 雑誌「りぼん」連載時のタイトルは「魔法使いサニー」。連載時にアニメ化が決まっていたが、放映前に日産自動車から「サニー」が発売。スポンサーのかねあいもあって「サリー」に変更された。
なお、OVA「ジャイアントロボ the Animation」では「サニー・ザ・マジシャン」という当初の名前で出演を果たした。髪型のボンボンも原作風。
- 107.四遊記
- 「西遊記」は言うまでもなく有名だが、「東遊記」「北遊記」「南遊記」も実在している。明治時代に翻訳されているが、内容がいささかお粗末なこともあって普及には至らなかったようだ。
「西遊記」の人気にあやかって作られたと言われている。
- 108.飯盒の形
- キャンプ、アウトドアでおなじみの飯盒は湾曲した形である。
これは軍隊でたくさんの飯盒を運ぶときに、取っ手に棒を通して運んだために考え出された形。ぶつかり合うことが少なく、重ね合わせたときにスペースにも無駄がないように設計されたと言われる。
- 109.ナポレオンズ
- 日本を代表するマジシャンデュオ、ナポレオンズの二人の芸名は、「ボナ植木」と「パルト小石」。もちろん「ナポレオン・ボナパルト」にちなんだもの。二人は専修大学時代の同級生で、ともにマジック同好会に所属していた。
- 110.宇能鴻一郎
- 「官能小説で有名な作家」というイメージが強いが、実は直木賞ではなくて芥川賞を受賞している。新人時代に書かれた受賞作「鯨神」は後の作品群からは想像もできない純文学作品である。
- 111.サランラップ
- この商標名は、開発者二人の妻の名「サラ」と「アン」から付けられた。
- 112.桃
- もともとペルシアの特産品で、アレクサンドロス王の頃からギリシアではメロンの一種として「ペルシア・メロン」という意味の名で親しまれていた。
その後ヨーロッパ中に広まり、「ペルシア」の部分だけが抜き出され、ラテン語で「ペルシカム」、フランス語で「ペーシュ」、そして英語では「ピーチ」と呼ばれるようになった。だから「ピーチ」は語源的には「ペルシア」なのである。
- 113.パナマ船籍
- ニュースに登場する船のほとんどは「パナマ船籍」と報じられる。
これはパナマでは船の所持に関する税金が格段に安い、いわゆる「タックスヘブン」であるため。経費節約のために、多くの国の船主が所持船をパナマの籍に置いている。
- 114.失楽園の続編
- 「失楽園」の作者であるミルトンは、その発表の4年後に続編に当たる「復楽園」を発表している。聖書の内容に基づき、楽園を追われた人間が試練を経て救済に至るストーリーで、一応翻訳もされている。が、商業的には成功しなかったようだ。
- 115.精進料理
- 「仏教徒に肉食は御法度」とは常識のように思われているが、実はこれは日本だけのことで、元来仏教では肉食を禁じる教えはない。
ただし、「殺される様子を見てしまった場合」「自分に食べさせるために殺したと聞いてしまった場合」「状況から、自分に食べさせるために殺したと判断される場合」のみ食べることが禁じられている(「見・聞・疑の三肉」という。)。
肉食禁止令は天武天皇が発布した詔によっている。
- 116.P
- 「ワルサーP38」「ルガーP08」などの拳銃の名前にある「P」とは、「軍隊制式採用されたピストル」という意味。
Pの後の数字は採用された年を示し、ルガーP08は1908年に、ワルサーP38は1938年にそれぞれドイツ軍に正式採用されている。
- 117.モーゼル・ミリタリー
- 116の伝に従うと、有名な「モーゼル・ミリタリー」には「P」がないから軍用制式拳銃ではなかったのか?という疑問が出るかもしれない。結論から言えば、最終選考まで残ったらしいが結局ルガーに負けて制式採用にはならなかった。
しかしルガーP08は独特で手の込んだ「トグルジョイントシステム」を組み込んでいるため量産がきかず、十分兵士に行き渡るだけの生産が追いつかなかった。
そこで軍は、7.63mm弾を使うモーゼルがちょっと口径を広げるだけでルガーの9mm弾を実装可能な点に目を付け、現場に多数を投入。実際には多くの兵士がこの銃を使用した。
その後この銃は海外に多数輸出され、中国では将校用のピストルとして制式採用された。
- 118.月桂冠の秘密
- コインや彫刻に残るローマ皇帝ユリウス・カエサルは、いつも月桂樹で作った冠をかぶっている。一説にはこの冠を片時も脱ぐことはなかったとされ、しかもその理由は頭髪の薄いのを恥じ、それを隠すためだと言われている。
- 119.オシャカ
- 台無しになる、失敗することを「おシャカになる」という言い方をする。
これは江戸の鋳物職人の間で用いられた符丁だと言われる。
鋳物の製法は非常にデリケートで、絶えずきちんと火力を調節していないと思うように仕上がらない。
ある日とある鋳物工が細工に失敗し、「火が強かった」と口走った。ところが江戸っ子は「ヒ」と「シ」の発音が逆転したため「シガツヨカッタ」と聞こえ、それが「四月八日だ」となった。四月八日は花祭りの日、そしてそれは釈迦の命日であることから、「おシャカ=失敗」の意となり、次第に業界以外の人にも広まったのだと言われている。
- 120.タンとカルビ
- 食味からすると意外だが、同じ分量で較べた場合、カルビよりタンの方が含有コルステロールが多い。成人病に注意している人はお間違えなく。
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