無用知識袋・申の巻
- 211.モーターボードキャップ
- 欧米の大学の卒業式などでよく被っている、「博士帽」と呼ばれたりする角張った帽子の正式名称は「モーターボードキャップ」という。「モーターボード」とは左官の持つコテ板の意。形が似ているために命名された。14世紀ごろから、イギリスの大学でアカデミックコスチュームとして普及した。
- 212.マッサージ
- マッサージの語源は、ヘブライ語の「マッサッシュ(触れる)」から来ている。
- 213.ろれつ
- 漢字で書くと「呂律」。「呂(リョ)」も「律(リツ)」も雅楽の旋法(音階)の一つ。また二つあわせて「呂律」で音階自体を指すこともある。この「呂律」が上手く合わない状態から、きちんと喋れない状態を「呂律が回らない」と言うようになった。
- 214.しめじ
- 「しめじ」という名前の由来については、一面にびっしり生えるので「占地」という説、湿った土に生えるので「湿地」という説の二つが有力視されている。
- 215.世界初の輸血
- 広義の輸血を始めて行ったのは、フランスのジャン・バプティスト・ドゥニという医師。「広義の」とあえて書いたのは、この手術が「羊から取った血を少年に輸血する」というとんでもないものだったから。しかし少年は奇跡的に助かった。1677年のことである。
医学的な根拠に基づいた輸血が始めて行われたのは1818年。ロンドンのガイ病院の医師・ジェイムズ・ブランデルが行った。この当時既に「血液型が同じであれば凝固反応が起こらない」ことまで解明されていたので、問題なく成功した。
- 216.カメの性別
- カメのオス・メスは卵から孵るときの温度によって決定される。27℃以下だとオス、30℃以上だとメスとして生まれる。
- 217.三菱鉛筆
- 三菱鉛筆は、三菱財閥系の企業と同じマークを使っているが、系列でも何でもない、完全な別の企業。社長も岩崎弥太郎とは何の血縁もない。創業者の家紋をあしらったマークなのだが、当時の日本ではまだ商標登録の権利についてそれほど厳しくなかったので黙認されたのである。
- 218.トンボ鉛筆
- 創業当時は「小川春之助商店」という名前だったが、いくつかの商品のうち、トンボマークをつけた鉛筆の売れ行きが良かったため、この商品をそのまま社名にした。
ちなみに現在の英語表記では「TOMBOW」と書く。
- 219.デカ
- 刑事のことを「デカ」と呼ぶようになったのは明治時代。この頃、警察官は角張った袖の和服を着ていたので通称「角袖」と呼ばれていた。この「カクソデ」を反対から「クソデカ」と読み、蔑称的に使っていたものの後ろ二文字、「デカ」だけで隠語として定着した。
- 220.メス
- メスシリンダー・メスフラスコの「メス」は、ドイツ語で「測る」という意味の「messen」に由来している。英語ではない。
- 221.木の実ナナ
- 木の実ナナの芸名は「着の身着のまま」をもじったもの。
- 222.コックのスカーフ
- 西洋料理のコックが首に巻いているスカーフは、料理長だけが身につけることが出来る。これはもともと防寒用。昔は冷蔵庫に入ることを許されたのは料理長だけだった。その時の防寒具として巻いたもので、シェフの証しなのである。
- 223.シャーレ
- 実験物を入れたり、組織培養などを行う小さな丸いガラス容器。シャーレまたはペトリ皿と呼ばれる。
「シャーレ」はドイツ語で「皿」のこと。また「ペトリ」はこれもドイツの細菌学者R..J.ペトリの名前から取ったもの。
- 224.やたら
- 「矢鱈」というのは当て字で、雅楽から来た言葉。リズムの一つで「夜多羅拍子」・「八多良拍子」などと書かれる。このリズムは2拍・3拍・2拍・3拍と繰り返す変拍子的なもので、特に日本人は三拍子のリズムが苦手だったのでなかなか上手く演奏できないなることが多かった。ここから「めちゃくちゃなさま・秩序が整っていないさま」を指して「やたら」と呼ぶようになった。
- 225.アポロキャップ
- 日本でも70年代終わり頃に流行したこの帽子は、もともと野球帽スタイルの軍用帽子だった。
アポロ宇宙飛行士が生還後、回収空母の艦長から偉業をたたえて記念にかぶせてもらったことから「アポロキャップ」と呼ばれるようになった。
- 226.リウマチ
- ギリシア語の「REUMA」が語源。「流れる」という意味。古代ギリシアでは脳からフレグマ(Phlegma)と呼ばれる粘液が体の各部分に流れ込むことによって病気や痛みが起こる、と考えられていたことから、「その流れによる痛み・その症状」と結びついて呼ばれるようになった。
- 227.ククレカレー
- 名前の由来は「cookless(調理不要の) curry」を縮めて、覚えやすくしたもの。
- 228.ムツゴロウ
- ムツゴロウこと畑正憲氏は、獣医の資格は持っていない。
- 229.極楽鳥
- ニューギニアに生息する鳥で、剥製などで取引されていたが、どれも脚がなかったことから「地上に降りることなく、極楽を飛び回っていた鳥だ」と誤解が広まり、ついには「ゴクラクチョウ(Paradisaea
Apodda)」という学名がついてしまった。実は「脚が薬になる」と信じられていたために、捕獲されてすぐに切り落とされていただけだった。
- 230.かっぱえびせん
- カルビーでは、当時漫画「かっぱ天国」で人気を博していた清水昆氏(初代の「黄桜」のカッパを描いていたのもこの人)のイラストをつけた「かっぱあられ」というスナックを発売していた。えび味のあられ「えびせん」はこのシリーズの最後期に出されたもの。「えびせん」が発売された昭和39年には既にパッケージにカッパの絵はなかったのだが、名前だけは「かっぱあられ」から引き継いで「かっぱ」と冠され、今に至る。
- 231.トランプ
- 「トランプ」とは、カードの中でも「切り札」のことで、「一揃いのカード」としてこの言葉を使うのは日本だけ。
英語で「1セットのトランプ自体」のことを指すには単に「cards」でよい。
- 232.ホッチキス
- 発明者B.B.ホチキス氏の名前にちなんだ商標であり、一般名詞としては「ステープラー」と言わないと欧米では通じない。(現在では商標公開されている)
- 233.体温計
- 最高温度はどのメーカーのものでも42℃。これ以上になると血液・骨組織・筋肉組織などの体内たんぱく質が凝固を始めてしまうので生存不可能になる。ゆえに、それより高い温度を設定していても意味がないのである。ちなみに日本では摂氏表示だが、欧米諸国では華氏表示のところも多い。
- 234.1「ケ」
- 日本では「個数」の意味で慣用される「ケ」。これは「个」という量詞(現在でも中国語では使われている)が「ケ」と混同され、そのまま根付いてしまったもの。
- 235.キャタピラ
- 一般名詞として定着してしまったが、実はアメリカの「キャタピラー社」が権利を持つ、れっきとした登録商標。
一般名詞としては「クロウラー」「無限軌道」と呼ばれる。
- 236.日本初のプラモデル
- 1958年に(株)マルサンから発売された「ノーチラス号」が日本最初のプラモデルである。ちなみに当初は同社が「プラモデル」の商標を持っていたが、後に「日本プラモデル工業協同組合」に権利が移り、現在は商標公開されている。
- 237.マンドラとマンドリン
- マンドラという楽器の名前は、実際にマンドリンアンサンブルに携わった人間以外にはマイナーであろう。マンドリンと同じスタイルだが一回り大きく、音も一オクターブ低い。ヴァイオリンに対するヴィオラのようなもの。しかし発生的にはこちらが早い。知名度の高い「マンドリン」は「小さなマンドラ」という意味である。
- 238.メトロノーム
- 1815年、ドイツのヨハン・メルツェルという技師が考案したと言うのが定説になっている(彼は翌年に特許を取得した)。これを最初に使用したのはベートーベンと、ピアノ教本で知られるツェルニーである。
- 239.銀行
- 明治初頭、「bank」の和訳をどうするか、知識人が協議の結果これに決めた。この当時銀の流通量が多かったこと、また中国が銀本位制であったことに由来したと言われる。「行」は当時の中国の経済語彙の一つで「市場・流通システム」を意味する言葉。ちなみに福沢諭吉が提案したのは「両替屋」という、いささか前近代的な響きの言葉だったという。
- 240.ユンボ
- てっきり建築現場用語かと思いきや、商標名なのである。昭和30年代に、建機類を輸入に頼っていた頃、フランスのシカム社の「ユンボ」という製品の性能が優れていてよく使われたため、そのまま商品名が「油圧ショベル」一般をさす言葉になってしまった。後にシカム社はそのヒット製品にちなんで「ユンボ社」と社名変更した。、(社)日本建設機械工業会では、一般呼称を「油圧ショベル」と統一している。一般に流布している「パワーショベル」は国内某メーカーが使っていた呼称。「ショベルカー」はマスコミ・また警察用語としてよく使われる。
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