汁物

毎日の食事に欠かせない汁物。
ですが、案外ワンパターンになったりしがちです。
具で栄養バランスをとりやすく、品目を増やせる利点も大きいものです。
ありふれたレシピしかありませんが、私の愛用パターンを少しずつ書いてみます。


<基本編>
ダシの色々
具を入れよう
これさえあれば!のお助け具材
かんたん法則
味噌について
<海産物編>
牡蠣のすり流し汁
・生のり味噌汁
・めかぶ汁
・アサリ、シジミの味噌汁
・ホタテ稚貝の味噌汁
・塩タラ汁
・鮭の煮汁汁
<野菜編>
・タマネギとジャガイモの味噌汁
・カブと油揚げの味噌汁
・きのこ汁
・なすの八杯汁
・小松菜とかぼちゃの味噌汁
・インゲンとジャガイモの味噌汁
<その他>
・豚汁
・納豆汁
<豆腐汁バリエーション>
・+油揚げの味噌汁
・+なめこの味噌汁
・+ひらたけの醤油汁
・+岩のりの味噌汁


<基本編>


*ダシの色々*

1.昆布
そんなに上等なものは不要です。
オススメなのは、「根昆布」。大一袋400円〜買えます。型は小さいですが、ダシ用なので問題ありません。そしてダシが少量でもよく出るのでオススメです。
とりあえず合わないのは「早煮昆布」。薄いので早く煮えるのですが、すぐ煮えて溶けてしまい、ダシが濁りがちになります。

昆布は袋を空けたら、小さめに切ってタッパーや瓶などに入れておきます。
大体、4cm幅もあれば、5人分程度はラクに出ます。少人数の家庭は2〜3cmで十分です。まあ、おでんや煮物などに使うこともあるでしょうから、半分切って、半分はそのままにしておいてもいいでしょう。

さて、昆布ダシは「煮て取る」というより「つけて取る」のが基本です。ですから、作る直前に入れるより、早めに入れておきましょう。
といっても、鍋に水入れて昆布を投げ入れておけばよいので、朝食のなら寝る前に放り込むか、夕食のなら朝家を出るときに放り込んでおけばいいだけの話です。夏場で雑菌が不安なら、口が取り外せるタイプの麦茶ボトルを買ってきてそこで作り、冷蔵庫に入れておきます。

時間さえ置けばいい感じのダシが抽出されていますので、そのまま火にかけます(根菜類は水から入れる)。
和食の基本では、ここで沸騰が始まったら昆布を取り出す。そうしないと昆布臭くなる…のですが。
昆布の風味が気にならないなら、最後まで入れっぱなしで一向に構いません(根昆布などの厚手の昆布ならそんなに臭くなりません)。基本どおり取り出すなら、その昆布はまた利用できます。

<取り出した昆布の利用法>
まだまだダシが出るので
・煮物などの二番ダシに
・適当に切って煮物の具に(五目豆や切干大根煮など)
・細く切って浅漬けのダシ兼具に
・ラップで包んで3日分くらいを保存し、細く切って自家製佃煮に

  などなど。
  昆布自体がヨードやミネラル、食物繊維の塊なので便秘や高血圧には特に有効です。なるべくそのものを食べてしまいたいです。
2.干し椎茸
これは優れものです。ウチのメインです。
何しろ具を選ばない上に、少量でもダシは出る、しかもそのまま具になるといいことづくめです。
勿論、国産の一個ままのもので、肉厚なもの(どんこ系)がダシもよく出て美味しいに決まってますが、毎日のダシですからそんなに奢らなくて良いです。(筑前煮などに使ってください)
あらかじめスライスされたものが便利で安くて重宝します。
ダシがよく出るので、一人あたり1〜2片も入れれば十二分です。
干し椎茸はビタミンDが豊富なのですが、加工して時間がたつとかなり失われています。成長期、疲労回復などで特に意識して取りたい場合は、数時間日光に当ててやるとかなり甦ります。(安価なものは大抵機械干しですので、ビタミンDを望む方は天日干しの質の良いものをを探すと良いでしょう)

これはさらに手間要らずで、もう水に入れておいて少しおいて火にかけるだけ。あとは最後まで入れっぱなし。具として食べましょう。
和食のみならず、中華にも洋食にも合うところがありがたい…
3.にぼし
色々大きさがあります。
カルシウムを意識したい方は、小さ目の「食べられる煮干」もよいでしょう。
普通の太目のにぼしのほうが味はよく出ます。
特に合わないものはないですが、特に根菜(大根・カブ)との相性がよいです。
これも「頭とワタはとる」のが基本ですが、取りたい人は取ってください。
腹から折って入れるとダシが良く出ます。

ダシを取るタイミングは昆布と大体同じです。
干し椎茸とあわせるのもよいです。
4.かつおぶし
こればっかりは基本を守らないと苦くなります。
パックの鰹節はコストパフォーマンスが悪すぎるので(構成人数にもよりますが)、大袋入りのを使います。
具が煮えて、沸騰してきたら、軽く一掴みを「わしゃっ」と味噌漉しか天カスあげに入れて汁に沈め、箸でジャカジャカかき混ぜたらすぐに火を止め、網ごと引き上げます(漉すのは面倒なので)。このとき汁を絞ってしまうと魚臭さが出ます。でもそれが好きな人はどうぞ絞ってください。
そのあとすぐに味噌を入れます。
この鰹節も、昆布同様二番ダシに使ったり、昆布と一緒に軽く佃煮にしてゴマや山椒なんぞ振ると、わりと粋な酒のアテになります。
椎茸や昆布と合わせると深い味に。

5.椎茸の茎
わかってます。貧乏臭いです。
貧乏臭いけど、要するに干し椎茸と同じでいいダシが出るんです。
天ぷらなどで茎が余ったら、石突の先を切って、あとは適当にスライスし、水から煮ます。
これを覚えると、鍋とか煮物とか炒め物に入れずにはいられません(笑)。
6.ダシの素
まあ別に、そんなにガチガチにこだわらなくてもいいよなあ、というだけのことです。
私も別に自然食信者でもなんでもありませんし、「絶対使うまいぞ」なんてことは考えてません。やってみたら美味かったし、コストパフォーマンスがいいと思うし、比較的ヒマがあるので励行してるだけです。
働く女性って、朝は水に煮干し突っ込むヒマもないものです。
ダシに目くじら立てて手間がかさんだり一品減るより、便利なものを上手に利用して美味しく食べればそれでいいと思います。



*具を入れよう*
味噌汁は塩分が気になると言う方もいらっしゃると思います。
無論、減塩味噌を使うなど色々方法はありますが、一番健康的に食べるのは「具をたくさん入れること」ではないでしょうか。
お椀の容量は決まっているわけですから、具が多く入れば、見た目そんなに変わらなくても実際の汁=味噌の量はかなり少なくなっています。(風呂の湯が少なくとも、太った人が入れば水位はかなり上がるのと一緒)具を食べる感じで、その上で残すなら残せばいいと思います。
不足しがちな野菜や海藻、大豆製品の品目をメニューに組み入れられる絶好のチャンスですし、ダシや野菜のうまみがよく出ていれば、案外味噌が少なくとも舌は満足するものです。
ムリして薄くて美味しくない味噌汁を飲むより良いと思います。
一人暮らしの人も、できれば「温野菜をスープで食べる」感覚で作れば野菜不足解消になります。インスタントの味噌汁にちょっと麩やネギを足すだけでもいいと思うのです。

*これさえあれば!のお助け具材*
<麩>
 大豆タンパクの塊なので、栄養価は思いのほか高いのです。
 お好みや慣れ親しんだ地域のものが一番舌に合うと思います。
 手軽さの面でオススメしたいのが「庄内麩」。薄い麩が、3重くらいに折りたたまった形で売られています。
 とにかく薄いので、味噌汁が仕上がったあとに適当に切るか折るかして汁に入れる(またはお椀に入れて上から汁を注ぐ)だけで、しんなりふやけて食べられる、とてもインスタントな具です。密閉容器に除湿材と一緒に入れておけばかなり持ちますし、別にちょっとくらいしけっても、具にする分には全然平気です。

 たまに見た目で楽しみたい場合は、手まり麩などの形の楽しいものをおすましに合わせて、三つ葉やゆずで上品に仕上げるのも、簡単な割にいいものです。

<乾燥海藻類>
 乾燥ワカメがあると便利です。どうしても塩蔵ワカメに較べるとはりのない感じになってしまうので、流水で戻すのがコツ。
 また岩のりやふのりなどは、お椀に入れて上から汁を注ぐだけで食べられるので手軽でかつとても美味しいです。ネギや豆腐を合わせればなお。

<高野豆腐>
 味噌汁用に小さく切った製品もあり、便利です。

<ネギ>
 万能ネギでも、白ネギの青いところでも。小口に切って冷凍しておくか、フリーズドライの市販品も便利は便利です。

<大根・かぶの葉>
 段々貧乏っぽくなってきましたが、油揚げなどとベストマッチです。一度湯がくとよろしい。
 勿論、ヘタをリサイクルして水栽培してもまたよろしい。

*簡単法則*
これさえおさえておけば、まあまずそんなにひどいものは出来ますまい。

根菜は水から葉もの・キノコは沸騰してから煮る
・具が煮えたら、必ず火を止めて味噌を溶き入れる。
・豆腐はこのときに入れる。
・少しだけ火を入れて、ちょっと表面が「ゆらっ」としたら火を止め、絶対に煮すぎない。暖めなおすときも出来るだけ煮立たせないようにする。
・醤油風味の澄まし汁は、基本的に塩で「ちょっと物足りない」程度に味を決め、醤油は仕上げに一かけ程度。醤油だけで味を決めようとするとけっこう量が要り、べったりした味になってしまう(好き好きだけど)。

*味噌*
これはもう、「手前味噌」という言葉があるとおり、食べつけた地域のものが一番肌に合うと思います。醤油・味噌の合う合わないは実に「生理的」なもので、同じ県でも醤油が違うと、思ったような味に仕上がらないことがザラですから。
現に私もいわゆる「田舎味噌」タイプの麹味噌が基本の人間なので、赤味噌や白味噌を味噌汁で使いこなす技術がありません。
好みで粒あり・粒なしなどのタイプを選んだり、合わせたりするのがいいんじゃないでしょうか。
あまり安いものは、大豆でなく大豆かすしか使ってなかったりするので、美味しくないことが多いです。で、そういう味噌はまたうまみが少ないので、けっこう量を入れないといけない場合も。煮込んだり、焼いたりすると悲しいほど味が飛んでしまいます。
できれば「丸大豆使用」のもの(そんなに高級でなくてヨイ)を選びたいです。
「丸大豆」は「絞りカスでない、そのままの大豆を使っている」という意味で、別にそういう品種の大豆があるわけではありません。
良い味噌はきちんと熟成されて旨みが多く、少なめに使ってもきちんと美味しく仕上がりますので、結局経済的なのかも。

入手も大きく地域差がありますが、私はCOOPの「庄内はら合わせ味噌」か「田舎こうじみそ」を愛用してます。
また、ダシ入り味噌は手軽は手軽ですが、割高です。
味噌は基本的に常温保存でよいのですが、これはダシが入っている分傷みやすいので、冷蔵庫で保存したほうが無難です。