<石ノ森萬画館レポート その2>
(2階は撮影禁止なので字ばっかりです…)
【企画展:藤子・F・不二雄原画展】
まずは企画展のほうから。こちらはドラえもんをはじめとする作品の原画や当時のグッズ・巨大フィギュアなどの展示が主。
アマチュア時代から始まり、順を追って作品が展示されてました。
「オバQ」のコーナーでは「あんもさん!こっちに旦那さんがいますよ〜!」と騒ぎ、
「パーマン」のコーナーでは、展示されていた第一回の原稿を見ながら騒ぐ私たち。
本来この作品の一話では、主人公をパーマンに命じたバードマンが、「パーマンの秘密を絶対に他人に漏らしてはならない」と口止めし、ダメ押しで「もしも秘密を喋ったら、君はパーになってしまうのだ!!」というセリフを言うのが子供心に凄まじいインパクトだったのだが、
大道寺「あー!ここ、『パーになってしまうのだ!』でなく、『動物になってしまうのだ!』になってるー!」
相方 「本当だ、セリフ改訂版なのかな」
Q太郎さん「お2人ともここ見てください、パーマンの飛行速度が『119km』になってます。当初のバージョンではここは『91km』のはずですから、やっぱりこれは改訂された写植でしょうね」
と的確ながらうるさい大人3人。
「ドラえもん」では、展示されていた原稿が「小さな台風フー子」。
これは幼少時に読んで激しくしんみりした良作…と思ったら、Q太郎さんもどう作品でしんみりした過去があるらしく、2人で「これを持ってきてくれるとは見識だ〜」と激しくシミジミする。
冒頭で、しずかちゃんが飼っている手乗りの文鳥をうらやましがり、ペットを欲しがるのび太。彼のもとに小さな台風がやって来る。「フー子」と名づけて可愛がり、フー子ものび太になつく(このフー子の様子がまことに可愛いんである)。しかし人間と台風は所詮一緒には暮らせない(そりゃそーだ)。大きな台風が来た日に、フー子もまた去ってしまう。最後のコマで、「それ以来、道で小さなつむじ風を見ると、ぼくはフー子のことを思い出すんだ…」といとおしげな目をする、「ちょっと大人になった感じののび太」の顔が絶品で、もうTVでやってる「ダダッコダメ少年」のび太と同一人物とはとても思えないほどである。まあ要するに「小鹿物語」のような話なのだが、ドラえもんも「ペットは遊びで飼うものじゃない」とたしなめたり、あらゆる意味で今とは違うテイストだった。
しかもこれが入っていたのが6巻。このエピソードでしんみりした後で「さよならドラえもん」のフィニッシュブローを食らうという、切なさ満載の巻(しかもなぜかそれが私がはじめて買った「ドラえもん」単行本だったりする)なのだ。
【常設展】
で、いよいよ常設展へ。
入るとすぐにトキワ荘模型があり、「編集者としてトキワ荘の石ノ森先生に(この場合は時代的に「石森先生」が正しい表記だけど)原稿を取りに行く」というちょっと切ないシミュレーションが体験できるのでやってみる。まあ手塚治虫の原稿取りに行くよりは焦燥しなくてすみそうだ。
トキワ荘の中を歩き回って、他の漫画家の先生に居場所を聞きつつ先生の部屋へ。原稿を催促すると、あっさりと「ごめん、まだ出来てないんだ」と言われてやっぱり切ない思いを。で、その間他の部屋を覗いたり、部屋の中を物色したり。そうして行動カウントを稼いでフラグを立ててから話し掛けると、「できたよ」と原稿を渡される。しかし間髪を入れず先生から「おいおい、こんなところでゆっくりしてていいの?」と言われ「そうだ、僕は早く印刷所に行かなくちゃ!先生ありがとうございました!」とステージクリア。その瞬間4人でいっせいに
「誰のせいで印刷所に駆けつけなきゃいかんと思ってるんだ!」とツッコんだことは言うまでもない。
ここからはキャラクターの世界。
最初は待ちに待ってた「サイボーグ009の世界」。一歩足を踏み入れると地下帝国ヨミの世界。ヨミの彫像、岩肌でドリドリやってるドルフィン号、裏手に回ると「黒い幽霊団」の3つの脳髄の首領。天井では、なぜか15分毎にハリマオが颯爽とロープを渡っていきます。地下帝国ヨミになんでハリマオがいるのかは全くもってよくわからんのですが、とりあえずいきなり音楽に合わせて「♪まーっかなー たいよう〜〜」と口ずさんでしまい、あんもさんから不思議なものを見るような眼で見られてしまいました。一度端へと渡りきると、コッソリとそのままの姿勢でバックしていくハリマオがとても可愛らしかったです。
さて、このコーナーには有料(¥200)のアトラクションがあります。
写真の通り、「002に乗って空を飛ぼう!」というもので、002の背中に乗ってマンハッタンから石巻という凄い距離を飛べるというものです。プリクラまで撮れてしまいます。
まあ物理的にこういう乗り方しかないわけですが、これではあんまりです。
002と一緒に飛ぶのであれば、いくつかのあらまほしき姿勢というものがあります。
原作などで多いのは、後背位背後からジェットに抱えられる飛び方。よく004がこの姿勢で空中からの爆撃などをかましたり、006が高高度からの火炎放射などをしてますね。
しかし理想はやはりヨミ編ラストのジョーとジェットのごとく、正常位向かい合って抱きかかえられながらの姿勢。やっぱりコレしかないでしょう。勿論お姫様抱っこならモアベターというものです。
その姿勢で、彼の息遣いを間近に感じながら、野田圭一さんの声で
「下見たら眼が眩むぜ、このままオレの方だけ見てな」だの「しっかりオレにつかまってるんだぜ」とか言われるわけです(←何を言い切ってるんだ自分)。
もうそんなシチュエーションで「どこに落ちたい?」とか言われた日には、例え落ちる先がキラウェア火山の河口だろうと何だろうと、唯々諾々として従ってしまうでしょう。
とか妄想ハァハァするともう際限がないわけですが、現実として既に5,6人のお子さんが順番待ちしています。
搭乗姿勢に不満があるとかないとか以前に、さすがに厄年面下げて、この状況でこれに乗って楽しむというのはどうしたって無理です。諦めました(今回は)。
次はライダーはじめ特撮ワールドへ。
このライダーがいる向かいの壁には、歴代ライダーの仮面がずらっと勢ぞろいしてます。
Q太郎さんはこのライダーを見るやいなや「通報しますた!」と叫ぶので、思わず爆笑してしまいました。なるほど確かにあのポーズ。ショッカー本部のあの「ピコーンピコーン」も再現されてました。
ここにはサイクロン号に乗れる有料ゲーム(一言で言えばハングオン)もあります。
その次は「時代劇の世界」。障子に浮かぶ、将棋を指す佐武やんと市やんのシルエット。そして「へっへ、佐武やん。どうやらお呼びがかかって救われたねえ」という原作どおりの2人の会話が聞けます。その他、「化粧師」などの作品の紹介。
次へ繋がる通路には光る円が幾つもあって、そこを踏むと、ライダーの変身するときの「シャキーン!」というSEやら、ショッカーの声やら、キャラクター関連の音声が流れます。特に「加速装置!」と叫ぶ床が嬉しくて、思わず何回も踏みまくってしまいました。
そこを抜けると「♪ミ〜ロ〜リ〜 ミロリ〜ピラリロ〜」とギルの笛の音がして、光明寺邸での「キカイダー誕生」シーンの再現。
次に「エッちゃんワールド」を過ぎたところの壁のモニターで、これまで映像化されたもののダイジェスト。
しかしこれがまた、アニメや特撮の数が異様に多いものだから、各作品ちょっとずつの紹介なのにかなり時間が。しかし思わずQ太郎さんとかぶりつきで見入って動かなくなってしまう私。ことに特撮。編集した人がまた十分に分かってるもんで、「仮面ライダー」で先生が監督・特別出演を果たした「イソギンジャガー」の話での熱演(イソギンジャガーにやられる釣り人役)を流したり、「ヒロイン特集」の中に「ロボット刑事」のマザーが入っていたりと、美味しいビデオ。多分フルに見ようと思ったら30分以上かかるでしょう。ん〜〜、実は一番ショップで売って欲しかったのがこのビデオだったりするんだけどな(4000円までだったら買うぞマジで)。
このモニタが入っている壁にはちょっとした仕掛けがあるので、目を凝らして見ていただきたいです。
向かい側は、ホテルプラトンのフロント。こちらは中に赤川君と裕美ちゃんの書き割りがあり、フロントに頭を突っ込むと「僕も東堂さんみたいな立派なホテルマンになりたいなあ」「頑張り屋の赤川君ならきっといつかなれるわよ」といった感じの、ちょっちヌルめの会話を聞くことが出来ます。
それより何より、私はその向かい側にある松田さん、そしてその背中を開けてメンテナンスしてる石森先生…というシュールなスタチューの方が印象に残りました。
ま、まさか松田さんがメカだったとは!「東堂さんが実は3つの脳髄だった」と言われたほうがまだ納得できるような気がしましたが。不思議です。
あれこれ堪能しつつ3Fへ。こちらは再び無料で楽しめるエリア。
3Fにのぼる階段には、萬画館にコスプレできた人への認定証&その写真が展示されてます。えーーーーと、全体的にちょっちイタいかなあ(汗)。でもイタくないのを探すと、「サブロー(ハカイダーの変身前)」などの分かりづら過ぎるコスプレだし。難しいところです。清楚な感じの女の子が着物着て「竜神沼の少女」なんてのはいいなあ。誰かやってほしい。分かりにくいなら分かりにくいで、高校生がガクラン着て3人揃って「怪人同盟ですが何か?」くらいのことまでやってくれたら嬉しい(そんな高校生はまずいない)が。あと、子供が市販のなりきりスーツ着ただけで「アギトです」「龍騎です」と言い張るのも安易過ぎてどうかとは思うが…
たくさんの漫画家さんからの色紙の展示。
やはりこういう所では、多少ベタではあるけれど、やっぱり無理してでも石ノ森キャラを描いてほしいもんです。ここで自分の作品の主人公とか描かれるとつい、「宣伝だけかよ」という気になってしまうんですな。特に印象に残ったのは矢口高雄の00メンバー(これがまた違和感ない)、相原コージの009、村枝賢一氏の仮面ライダー(モノクロでしたが綺麗でシャープな線に溜息でした)等々。ことに畑中純の009&003に至っては、例の豪放磊落な絵柄そのもので、目を離すと伊豆沼あたりに行って大自然の中でおおらかにナニを始めてしまいそうで、印象に残りました。
ここでは簡単な動画作成体験、デジタルグラフィック作成体験のほか、石ノ森作品以外にもたくさん備え付けられた漫画ライブラリーを心行くまで堪能できます。端末を使った過去作品のアーカイブ閲覧も出来ました。ちょっと休日だと家族連れに押され犠身になるかな〜。ゆっくり幸せな時間を過ごせそうな場所です。廊下の壁には、そこで書いた人たちのイラストが。予想通りではありますが、結構同人丸出しの絵も多いです。まあ今年は009のアニメもありましたしね。中には「原作で『どこ落ち』を読めて感動です」といったコメントもありました。「どこ落ち」って、すでに一般名詞化してるのか…?そんな「蒲田行進曲」の「階段落ち」のような…。子供がアンパンマンを書いたりしてるのは微笑ましいのですが、どう見ても大人の同人絵でサンジとか描いてあるのはよく意図が分かりませんが。
この階には軽食も食べられるカフェがあります。名前は「BLUEZONE」。うっ、なんてマニアックな…この作品は大学時代、漫研部室に「マガジン」から取り出したページを綴じて合本にしたものがあって、それで読んだなあ。懐かしいなあ。
表でメニューを見てみると「ジュンのツナクリームパスタ」など、キャラ名を無理やり冠したメニューがいくつか。当然「キレンジャーのカレー」は外せません。「ピュンマの○○」もあったのだけど、その不謹慎さのせいか忘却してしまいました…
また、「チャンチャンコ中華フェアー」ということで中華料理の定食もいくつか。ここではソフトクリームを立ち食い。ディスプレーされていた、006のイラストをあしらった缶コーヒー「Fire」の缶デザインをQ太郎さんが発見して4人で大受け。単なるパロディーか、それとも本当に限定缶が出たのだろうか。洒落が効いてる。
どうせだったら、館内限定ボアジュース缶でも売ってくれないかな。………溶けて死ぬけど…
その伝でいけば、ジェットもCMキャラになれそう。
……………ゴキジェット……とか………ごめんなさいごめんなさい。
ポケモンジェットならぬ「ジェットジェット」なんてのもアリかな。マニアックすぎて集客能力には欠けるけど。
この階には他に研修室や、キャラ工作企画に使われる作業スペースなどもありました。