ザ・300円岩窟王(2)
シャトー・ディフを脱獄して10年後。
(原作とはかけ離れた手段で)モンテ・クリスト伯となったエドモンは、まずはマルセイユで仇敵ダングラールとモンデゴの現状について情報を集める。
さあ、ここからがエドモンの指輪物語の始まりです。

まず向かったのはマルセイユでしょぼい宿屋を営むカドルッス。ヴィルフォールは出ないのにいきなりカドルッスが出るのにはちょっと驚いた。例によって時間制限が厳しいDVDなのに、なぜかカドルッスのアル中小芝居は丁寧だったりする。

ブゾーニ神父に化けたエドモン(それにしてもひどい人相だ)がカドルッスを訪ねるというシチュエーション自体は原作通り。
違うのは、原作ではダイヤモンドをチラつかせて事実上買収して情報を聞き出したのに対し、このアニメでは
エメラルドの特殊効果その1:「自白」を使って洗いざらい喋らせるってことカナー。
宝石の「魔力」の意味合いが全く違う。

カドルッスは例の「ミヨミヨミヨ」音と怪しい放射線をかざされて、事件の顛末とその後二人が大出世したことを語るのだが、それを知っていたのは単に「その陰謀をたくらんだ現場がカドルッスの宿屋で、その場に居合わせたから」。つまり単なる「目撃者」であって、原作のような「首謀者の片割れ」ではない。
ここのところ、最後まで覚えておいてね。

立派なエメラルドを見たカドルッスは、「あれを手に入れれば大金持ちになる」と思って含みのある発言をする(一応伏線)。

1844年、パリ。モンテ・クリスト伯が馬車でダングラールの事務所を訪れる。
ちなみにこの馬車シーンは何度かバンクされるのだが、普通は「パカラッパカラッ」と馬の足取りに合わせて揺れるはずの馬車が、左から右へ「スーッ」とスライドして動くあたりの味わいは低予算ならでは。
伯爵は、海のものとも山のものとも分からないハイチ公債を100万フラン、しかも必ず儲けさせるからその資金はダングラールが出資するようにと要求する。さすがに保証もなく一方的な条件はのめないと渋るダングラールの目の前に差し出されるのは、やっぱりあのエメラルド。
最初は「とても100万フランの値打ちがあるとは」…と興味を示さないダングラールだったが、至近距離でかざされると…


伯爵「ダングラール、見ろ。このエメラルドの輝きを。(ミヨミヨミヨミヨ)」
ダングラール「おおぉ、これは…気がつかなかったなんてお恥ずかしい。早速100万フラン!お貸しいたしましょうー!この指輪に比べればお安いものです。」
エメラルドの特殊効果その2:「あやつる」が発動しました。

伯爵の予言したとおりに100万のハイチ公債は翌日300万に値上がりし、それを即売りしたダングラールは大儲け。すっかりモンテ・クリスト伯爵に心を許すのだった。


いっぽうこちらはモンデゴの屋敷。今はその妻となったエドモンの元恋人、「美しきメルセデス」の姿が見える。
このアニメシリーズ、全体的に「なんちゃってディズニー」的な絵柄なのだが、メルセデスだけ妙に内田春菊っぽい絵だと思う。

そしてメルセデスを「お母さま」と呼ぶこの女の子の名前は、「ヴァランティーヌ」。
うへぇ、ヴィルフォールは出ないけどその娘だけはこんな形で登場するのか;
(原作ではヴィルフォールの娘)
え?アルベール(原作で登場するメルセデスとモンデゴの息子)?影も形もありませんけど何か??
ヴァランティーヌは「パリの社交界で噂のモンテ・クリスト伯爵を私の誕生パーティーにご招待したの」と有頂天。

同じ日に、ダングラールがモンデゴの屋敷を訪ねていた。彼はモンデゴに多額の金を貸し付けており、モンテ・クリスト伯爵の持ちかけたルイジアナ鉄道の投資にビッグマネーが必要なので、すぐに耳をそろえて返せと迫る。急には返せない、というモンデゴに、ダングラールは、「金は返さなくていいが、その代わりに娘のヴァランティーヌを俺の嫁によこせ」と要求する。なんだただのエロガッパか。



場面は変わって再びダングラールの事務所。
ルイジアナ鉄道への投資へのサインをするダングラールと伯爵。
ダングラールは「金はいくらでも積むから伯爵の指輪を自分に売ってくれ」と頼む。「伯爵家の家宝だから指輪を売ることはできない、だが宝石自体は安物だからタダでやる」と、例のミヨミヨエメラルドを手渡す(この辺の会話が変に持って回った流れでちょっと分かりづらい)。
喜ぶダングラールを、含みのある表情で見つめる伯爵。

翌日の晩、モンデゴ邸で開かれたヴァランティーヌの誕生会に招かれて参上する伯爵。
母親似(ということになっている)ヴァランティーヌをメルセデスと見間違えて、
「本当に君かい?(違います)ああ、君はあのころと変わらず若く美しい…」と早速詩人モードに突入。
モンデゴにヴァランティーヌとメルセデスを紹介される。メルセデスは一目で伯爵がエドモンだと見抜く。やはりアゴが決め手か。

メルセデス「お会いできて光栄ですわ……エドモン、あなたなの?
その場ですぐに小声で問いかけるメルセデス。さすが50分1本勝負、話が早いぜ。
伯爵「ああ…そうだよ…愛しのメルセデス…」
そこで空気も読まずに場を仕切りだすダングラール。
ここで私からヴァレンティーヌ嬢にプレゼントを。そして私たちは1ヵ月後に結婚します!
当然モンデゴ以外は聞いてないよ状態で騒然とし、当のヴァレンティーヌも呆然とするばかり。
「このエメラルドを美しいおまえに…」と差し出されたペンダントは、あのミヨミヨエメラルド。
伯爵も驚き、「それはお前にやったものだからヴァランティーヌには別の宝石を代わりに贈ろう」と取り繕おうとするがダングラールは聞き入れない。
ヒヒオヤジとの突然の結婚話、そのうえ頬チューまでされたヴァランティーヌは、ショックのあまり号泣して立ち去ってしまう。
借金を盾に強引にメルセデスの愛娘を奪おうとするダングラールに、モンデゴは手も足も出ず、伯爵の怒りが燃える。

さあ、この後いよいよクライマックスの超展開があなたを待ち構えています。
それにしてもこのシリーズ、どれもこんな風に別世界なんじゃろか。ちょっと気になってきた。

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